インダストリー・ルネサンス

エクスペリエンスが新たな主役

ヨーロッパでのルネサンス以降、これまでになかった規模の深い社会変革が現在進行しています。かつて、グーテンベルクの活版印刷により書物が生まれ、封印されていた知識を誰もが入手できるようになりました。書物に代わり、発明、学習、生産、取引の新しい手段で現在社会のあらゆる分野を揺るがしているインダストリー・ルネサンスを可能にしているのは、エクスペリエンスです。

インダストリー・ルネサンスに対する備えは万全ですか?

私たちは今、現実とバーチャルで発明、学習、生産、取引の新しい方法をもたらす、グローバルなインダストリー・ルネサンスを体験しています。明日のリーダーは生産システムをもっとも自動化させた企業ではなく、知識とノウハウの文化を構築し、未来の人材を育成、発掘でき、持続可能なソリューションを見いだせずにいる、社会的課題を解決できる企業なのです。

ベルナール・シャーレス (Bernard Charlès) > Dassault Systèmes
ベルナール・シャーレス
Executive Chairman

インダストリー・ルネサンス

産業の再生

私たちの周りで大きな変化が起きています。アマゾン、グーグル、アリババなど、製造資産を持たないパワフルなプラットフォーム企業が、自動運転車や音声式アシスタントを発明して本格的に業界のプレーヤーになり、私たちの生活を根本から変えています。

世界中のファブラボでは、誰もがスマートなコネクテッドオブジェクトを数時間で作れます。UberやAirbnbといったスタートアップ企業が業界全体を揺るがしている一方、古い歴史をもつBoeingのような企業はサービスを主眼においた新しいビジネスモデルで自らを変革しようとしています。

この地殻変動をもたらしているのが、世界規模のインダストリー・ルネサンスに他なりません。その変革において、ユーザーは完全にデジタル化されたエコシステムを通じて、バーチャルな世界で現実の世界を拡張、改善できるのです。人類はその歴史において初めて全く新しい環境を同時に想像、マッピング、モデリング、設計できるようになるのです。

インダストリー・ルネサンス

発明、学習、生産、取引の変革

インダストリー・ルネサンスの要素

産業の新しいカテゴリー

インダストリー・ルネサンスでは、新しいカテゴリーの産業企業が新しいカテゴリーの顧客に向けて新しいカテゴリーのソリューションを創案することを実現しています。エアタクシーからデータ主導型の作物科学まで、バーチャル・プラットフォームで創り出され管理される仮想世界のパワーが、これまで不可能だったエクスペリエンスで顧客の満足度を高める、まったく新しいビジネスモデルを可能にします。

スロバキアにある AeroMobil社では例えば、垂直飛行自動車の事前注文を受け付けています。これは、自動車と飛行機の長所を組み合わせた新しいカテゴリーのモビリティで、同社は車のパイロットという全く新しいカテゴリーの顧客を、これまで限られた人にしか許されていなかった、オンデマンドでの飛行移動という、全く新しいエクスペリエンスで惹きつけることができます。

デンマークのシューズ・ブランド  ECCO 社は、デジタル・エクスペリエンス・プラットフォームを使用して、1 時間以内に各顧客の足のサイズに合わせカスタマイズを行い、快適性の高い歩幅矯正シューズを製造しています。ECCO 社は、ファッション (フットウェア) とライフサイエンス (装具) がクロスオーバーするエクスペリエンスで、これまでになかった市場全体で新たな区分の顧客に向けてサービスを提供する可能性を創り出しています。

ドイツの農機メーカー  CLAAS 社では、バーチャル・エクスペリエンス・プラットフォームを使用して、即座に農機の試運転ができ、次世代製品の洞察を得ることができる仮想世界をオンラインで構築しています。顧客が製品を購入したのちは、IoT接続された装置を搭載したハーベスターやコンバインから絶え間なくデータストリームが返されます。CLAAS 社はそのデータを他の農業機械メーカーに販売できるようにしています。

ナレッジとノウハウ

ナレッジとノウハウが豊富でアクセス可能であることが成功への新しい鍵です。これが今まで解決困難であった世界的な課題に対処する、革新的で持続可能なソリューションを発案する人間の能力を決定的なものにします。ハイパースピードでナレッジやノウハウにアクセスして適用する能力は、勝ち残るための新たな前提条件であり、バーチャル・エクスペリエンス・プラットフォームの仮想世界がそれを実現します。

電気自動車向けバッテリー開発のために設立された eモビリティの新興企業 Kreisel Electric 社は、新たな分野の業界では電気モーター向けに最適化されたドライブトレインが必要であることを認識していました。Kreisel 社は、バーチャル・エクスペリエンス・プラットフォームを使用して、世界中の業界専門家による仮想エコシステムを構築して設計について協業しています。

バーチャル・シンガポールは、シンガポール全土の状態を仮想的に再現する、科学的に精度が実証された 3DEXPERIENCE ツインです。国家のさまざまな機関がこの仮想世界を利用して、相互の活動間の相乗効果を認め、その恩恵を得て、一般市民との対話の簡素化を可能にしています。

A. Zahner 社では、バーチャル・エクスペリエンス・プラットフォームの仮想世界を使用して、複雑な建築外装を完全に計画、製造、施工しています。「これを従来の技術で実現しようとすれば、形状が構造要件、製造性を満たしているかを都度確認するのに、永遠に近い時間がかかります。」と創設者の Tom Zahner 氏は述べています。

未来の働き方

20 世紀の成功は、持続不可能な基盤、つまり限られた数の加工原材料、限定された量の知識そして分断された経済活動の上に築かれました。このような現状を打破するために、21 世紀のインダストリー・ルネサンス企業では、バーチャル・エクスペリエンス・プラットフォームの仮想世界を使用して、従業員がナレッジ、ノウハウ、コラボレーティブな能力を利用できるようにして、現実世界と仮想世界の両方で包括的なエクスペリエンスを創案、検証、創出、運用できます。

カンザス州ウィチタ、ウィチタ州立大学国立航空研究所のエグゼクティブディレクターJohn Tomblin氏は、ある航空宇宙会社の幹部が自社では工学部新卒者へのCAD、エンジニアリング、製造のトレーニングに丸2年間費やしていると嘆くのを聞きました。「このトレーニング期間をゼロにしたい」と、その幹部は言いました。ウィチタ州立大学はこの要望に応え、経験を基礎とした学習プログラムを作成しました。この学習プログラムでは3DEXPERIENCE プラットフォームで学生を教育した後、ウィチタにある複数の航空機製造現場で学生を働かせます。「これはデジタル・トランスフォーメーション・ソフトウェアによる3D設計の経験と知識を得るための実践型学習です」とTomblin氏は述べています。

中国を拠点とする Yellow River Engineering Consulting 社では、3DEXPERIENCE プラットフォームにより、現ならびに未来の社員が再利用するために経験を積んだ従業員の知識を取り込んで、未来の人材育成に取り組んでいます。「専門知識を特定の設計プロセスにコーディングし、建築物をコンポーネントに分解することで、エンジニアリング・テンプレート、ナレッジとノウハウを通じて建物に再組立することができます。これをプラットフォームに取り込んで継続的に更新できます」と同社のエンジニアリング・アカデミーのリーダー Shunqun Yang 氏は述べています。「これにより、社員の転職によるナレッジやノウハウが失われるのを防ぎ、新入社員の習熟時間を短縮できます。」

未来に備える働き方

変化の速い市場で企業が必要とするスキルを見つけるための 6 つのステップ

ダッソー・システムズ: 21世紀のインダストリー・ルネサンスにおけるきっかけをつくり、成功へと導く

知識を経験できる現在、このエキサイティングな新しい世界を実現できるのはダッソー・システムズの他にはありません。3DEXPERIENCE platformEXPERIENCE Marketplace を通じて、3DEXPERIENCE Lab スタートアップ・アクセラレーターおよび 3DEXPERIENCE Centers の革新的なバリュー・ネットワークで、未来の人材育成における世界的なリーダーシップ、持続可能な未来に向けて、複数領域にわたるマルチスケールのソリューションを創出することに 30 年にわたりリーダーシップを発揮してきたダッソー・システムズは、インダストリー・ルネサンスにおけるきっかけをつくり、成功へと導くきます。

ベルナール・シャーレスからのメッセージ

ダッソー・システムズ取締役会副会長、最高経営責任者 ベルナール・シャーレスがインダストリー・ルネサンスについて説明します