1. 貴重なリソースを十分に活用できていない、または十分な投資ができていないというようなことはありませんか?
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貴重なリソースを十分に活用できていない、または十分な投資ができていないというようなことはありませんか?

組織とパートナーの共有ナレッジの活用

医薬品・医療機器業界では、競争が激化し、複雑さも増しさらに規制が厳しくなってきています。急速に台頭するニッチ企業が、歴史ある伝統的な大企業をじりじりと追い詰めています。主要な大手企業には、従来の組織構造と合併買収に起因する階層的なサイロが形成されているため、イノベーションへの包括的なアプローチが十分ではありません。

こうした階層的なサイロは、新たな収入源を求める独立部門のように機能します。結果的に自然の成り行きで、横方向ではなく縦方向に物事を考える複雑な組織構造が形成されます。必然的に、こうした部門の間ではほとんど、あるいはまったく統合が行われておらず、部門をまたぐコミュニケーションやデータのやり取りが困難になっています。

そして、医薬品・医療機器業界にも数々の圧力があります。患者を中心とするエクスペリエンスを提供し、品質と安全性を向上させる一方で、コストも抑えていくにはどうすればよいのか。法規制や地域の品質要件を忠実に守りながら、コストを抑え、新しい市場で一刻も早く承認を得ることはできるのか。患者中心のイノベーションをどこよりも早く市場に投入するために、「次世代のライフサイエンス」にビジネスを移行させ、オペレーションの卓越性を高める最善の方法は何か。実際、どんな新しいビジネス・モデルを採用すべきか。

こうしたさまざまな要求を満たして競争力を維持するために、医薬品・医療機器業界の企業は適応と進化を経て、さらに患者中心のイノベーションを実現させる必要があります。新しい企業が参入し、組織や法規制の複雑性が増す中、最も適合して、機動性に優れた企業だけが、収益や利益の増加につながる競争の優位性を築いて生き残るでしょう。

私たちのまわりに情報は溢れていますが、知識が不足しています。

ジョン・ナイスビット氏
研究著者と解説者

意思決定の改善がイノベーションを向上させる

患者のエクスペリエンスと成果を向上させていくという業界の継続的なミッションにおいて、これまで満たされていなかった医療ニーズに応えながら、イノベーションのスピードを加速させるだけでなく、イノベーションの質を高める必要があります。

では、どうすればよいのか。最も簡単な答えは、「意思決定を加速し、透過性を高める」ことです。意思決定の質は、間違いなくそのベースとなる情報の質に左右されます。そして、意志決定のスピードはその情報の可用性とアクセスのしやすさ次第で変わります。

これを実現するには、組織とパートナーの共有ナレッジを活かし、適切な情報を確実に活用することで意思決定の改善を推進して、さらに患者のニーズに合った療法を提供する一方で、100% 確実に正しいプロセスと手順に従う必要があります。

データの整合性を確立し、データの価値を最大限に活用する

「企業はデータの整合性を重視する作業環境を構築する必要がある」これは、デロイト社の 2018 年グローバル・ライフ・サイエンス・アウトルックからの引用です。「第4次産業革命における医薬品・医療機器業界の革新: 導入、構築、成長」

「データの整合性とは、一連のデータ・ライフサイクル全体を通して完全に一貫した正確なデータを意味します。クラウドのデータ・ストレージ機能を含めた自動化システムや高度なテクノロジーの採用により、来年には規制機関がデータの整合性に大きな期待を寄せることになるでしょう。」

レポートでは、それが将来のイノベーションにとって最大の障害 - すべての人にサイロ化された環境で働く傾向があるという事実 - に対処する方法だとしています。「現在、企業やその部門では、さまざまな方法でデータ収集が行われ、異なる用語や定義が使用されています。それが原因となり、部門間における品質に関する問題の特定や比較が難しくなっている可能性があります」

連携の流れを受け入れる

データからは、価値に基づく価格設定や市場投入に役立つインサイトが得られます。実際、サイロ全体にわたりデータとチームを結び付けると、多くの企業で新しい連携が生まれ、内部的な競争が少なくなっていきます。

「サイロを解消する方法のひとつは、部門と医学領域の間でナレッジを共有することの重要性を強調し、部門間に協力体制を築くことだ」とレポートは伝えています。「たとえば、企業規制、研究開発規制、サプライ・チェーン規制などに対応する複数のグループが存在する製薬会社もあります。」

この議論の最も重要な点は、こうしたチームのために価値を創出するには、部門全体のデータを統合して利用しやすくし、再利用できるようにしなければならないということです。ビッグデータを分析することで、まったく異なるデータソースが持つ可能性を引き出すことができます。医薬品・医療機器業界の企業は、組織レベルでの意思決定にデータを活用し、新らたに発生するリスクについて、さらなる理解を与えることで、データの価値を最大限に生かすことができます。

レポートの説明では「エンドツーエンド (EtoE) のエビデンス管理を導入すること、つまり、研究と臨床の開発全体から製品化までを通してデータを統一することで」データの価値をさらに引き出すことができます。

さらにリアル・ワールド・エビデンス (RWE) に関する課題の検討に移り、「利用できるデータが不足していることが RWE プログラムの大きな課題であるとし、保健システム、患者擁護団体、ならびにその他のデジタル保健構成員と新たに連携を結ぶことが重要だと強調しています。実環境のデータ量が増えて利用状況が改善されると、企業は製品ライフサイクルの早い段階で RWE を活用し、開発の合理化、コスト削減、市場参入や研究開発への活用が実現できます」

現実にビジネスチャンスを獲得する

「リアル・ワールド・エビデンスが特定の医薬品の有効性を追跡する方法に変革をもたらすかもしれないと人々が考えるようになるにつれて、議題の中心として多くの会議で取り上げられています」と Matt Phellows 氏は Pharmafile.com の記事で述べています「Seizing opportunities in the next steps for real world evidence」(2018 年 1 月)。

「有効性データは、製薬、医療、ヘルスケア産業だけでなく、他の分野でも促進要因となります。安全性データと並び、有効性データは世界中で主目的における医薬品の有効性の判断に欠かせないものであり、臨床医や他の専門家にとって日常的に必要不可欠なものです。この媒体となるのが臨床試験です。こうしたデータは、幅広い層から選ばれた被験者の協力の下、最適な環境で正しい科学知識に基づいて慎重に積み重ねられた研究を通して生み出されます。

「しかし、治療の有効性と安全性がますます厳密に精査されるようになってきている今日の環境の下、従来のプロセスとデータセットで期待される高度な基準を達成できるのでしょうか。業界では、この方法から生じる問題の多くは、リアル・ワールド・データ (RWD) とそこから得られるリアル・ワールド・エビデンス (RWE) の中に答えがあるという認識で一致しています」

結果として、耐震産業では、事後対処型のデータ利用から予防措置型のデータ利用へと移行しています。機械学習やコグニティブ・コンピューティングの登場により、今まで業界が考えもしなかった新たな疑問からインサイトが生み出されるかもしれないのです。実に心躍る時代です。

ナレッジへのインテリジェントなアクセス

創薬を成功させるには、異なるグループのそれぞれのメンバーがデータを共有し、連携する必要があります。しかし、MillenniumTakeda Oncology Company では、組織全体の連携が妨げられており、化学研究員や生物学研究員がそれぞれ異なる情報管理システムを使用していることから創薬のペースが遅れていました。

たとえば、Takeda Oncology Companyの化学研究員は Millennium 社が所有する化学薬品のデータを検索できていませんでした。同社は当初、この問題を解決するには、所有する化学反応データを保管、検索できる化学情報システムが必要になると考えていました。しかし、急にプロジェクト・スコープがELN に変更になってしまったのです。その理由を Millennium 社研究開発部門アソシエート・ディレクターのクレイグ・トゥリッグ氏は次のように説明します。「化学研究員に実験の詳細を電子システムに入力してもらっても、紙の実験ノートに書かれた同じ情報を入力する以上のものにはならないからです」

「私たちにとって、ペーパーレスへの移行は終着点ではなく、終着に向かうための手段でした」と同氏は語り、化学と生物学の両分野のプロジェクトにおいて、紙の実験ノートに埋もれた情報を探し出して取り出す手段を得ることが主な促進要因になったと説明します。「行われるすべての作業が既に電子化されている今日では、電子実験ノートの持つ意味は大きいです」

Millenium 社が選択した電子実験ノート (ELN) はダッソー・システムズの BIOVIA Workbookでした。同社は、ワークフローを定義し、この高度な構成可能なデバイスを実装することで、化学と生物学の両分野を含めた創薬探索部門全体を単一の ELN システムに移行させました。

こうして、両分野全体における連携と生産性を向上させました。新薬候補は臨床前と臨床のレビューに素早く移行でき、研究員は以前手がけた研究を活用して時間を節約しながらワークフローを合理化し、はるかに品質の高い実験記録を残しています。

このおかげで、Millennium 社の法務部門もBIOVIA Workbookへの移行を成功させました。「当時、知的財産リポジトリとしての ELN の合法性について物議を醸していましたが、法務チームでは 2 つの理由で ELN が紙ベースよりもリスクが少ないと早い時期に判断しました」とトゥリッグ氏は述べます。「第一に IP が見つけやすくなり、第二に IP が読みやすくするからです。」

コンプライアンスがイノベーションの妨げになってはならない

成功事例

Millennium 社、創薬探索部門全体を単一の ELN システムに移行

現実世界でのカスタマー・エクスペリエンスを上回るものはありません。こんな短時間で実現できるとは思ってもみなかったことが実現すれば、なおさらのことです。

ここでは、3DEXPERIENCE® プラットフォームの現実的なメリットを活用している非常に異なる2つビジネスを紹介します。

Millennium 社、The Takeda Oncology Company 社の事例では、異なる情報管理システムを使用している化学研究員と生物学研究員間の連携を改善する手段が必要でした。

Millennium 社は、BIOVIA Workbook で解決策を見い出しました。この新しい電子実験ノート(ELN) システムにより、化学研究員や生物学研究員の生産性を向上させながら、かつては紙のノートに埋もれていた情報を検索して取り出すことが容易にできるようになりました。

新薬候補は臨床検査に素早く移行でき、研究員はより品質の高い実験記録と合理化された化学ワークフローを活用して時間を節約できます。

「組織全体で化合物、研究、プロジェクト・ステータスに関する情報を矛盾なく見つけ出すことができる能力は、私たち研究員にとって価値のあることだと認識していました。」

クレイグ・トゥリッグ氏
Millenium 社、研究開発システム担当ディレクター
成功事例

オスステム・インプラント社、 ナンバーワンを目指す

二つ目の事例は、アジア太平洋地域の有力な歯科医療機器メーカー、オスステム・インプラント社です。同社は、ビジネス・プロセスを自動化する方法を見い出し、安全で、コンプライアンスに遵守した革新的な医療機器の提供を加速させています。

3DEXPERIENCE® を基盤とする医療機器向けライセンス・トゥー・キュアソリューションは、オスステム・インプラント社が従来のプロセスとデータの分断化を排除するための基礎的な役割を果たす一方で、品質管理の効率化と精度を向上させています。

私たちは世界トップのインプラント・メーカーになるというビジョンを実現する道を歩んでいます。

キム・テヨン氏
オステム・インプラン社、情報システム・マネジメント・チーム責任者

歯科用インプラントと医療機器を製造するオスステム・インプラント社も業務の法律面に関する認識が高いメーカーです。同社は 2023 年までに世界一のインプラント・メーカーになることを目指しています。しかしグローバル企業に成長するには、製品コンプライアンスに対する大きな責任を果たさなければなりません。

「健康関連の製品に対する監視体制が厳しくなる中、当社の研究開発部門の大半が新製品の開発ではなく規制対応のための作業を強いられています」とオスステム・インプラント社の情報システム・マネジメント・チーム責任者キム・テヨン氏は述べ、次のように語っています。「世界的な市場シェアを獲得するには、多様性を確保して画期的な製品を逸早く顧客に届けなければなりません。規制関連業務がその妨げになってはならないのです。規制要件を満たすことは必須ですが、そのために新製品の開発が犠牲になってはなりません。」

これを実現するには、UDI 情報、設計変更情報、品質管理情報をグローバルに管理できるソリューションを使用して、医療機器の個体識別 (UDI) に関連するプロセスを自動化する必要がありました。

オスステム・インプラント社は、ダッソー・システムズの 3DEXPERIENCE プラットフォームと医薬機器向けライセンス・トゥー・キュア インダストリー・ソリューション・エクスペリエンスを選びました。

結果として、以前は別々に管理していたプロセスが、今ではシステムにつながり、統合されていますので、さまざまな 米国食品医薬品局 (FDA) 規制に準拠しています。これには、部品表や機器原簿の管理、認証書類やUDI の管理、文書のバージョン管理、要件管理、品質管理、環境物質管理などが含まれます。統合された UDI 管理により、製品の品質管理も改善され、すべてのプロセスの追跡管理が容易にできるようになりました。これらを単一の円滑なデジタル・ワークフローで最初から最後まで連動させています。

デジタルな連続性で点と点をつなぐ

幅広い業界で、業務内容にかかわらず、コラボレーティブ・プラットフォームが可能する構造化されたデジタル変革によって、すべての部門のあらゆるレベルでバリュー・ネットワーク全体をつなぐことで、今日の市場で成功するために必要なイノベーションと卓越したオペレーションが実現します。

着想から探索、実現、そしてその先のあらゆる段階で論理パスを生み出します。製品ライフサイクル全体を通じて、最新の情報を活用して、誰もがリアルタイムに共同作業することができます。重複なし、疑念なし、遅延もありません。関係者は、製品ライフサイクルの状況に応じて、製品やプロセスの監視、複製を行い、包括的な意思決定を行うことで、現在と今後のステータスを万全の状態にすることができます。こうした機能は、オープン・イノベーション、リサーチやエンジニアリング、品質保証や規制、製造、そして最終的に差別化された患者エクスペリエンスを提供するために必要不可欠です。

企業全体とサプライヤー間でサイロを解消することで、組織の点と点をつないでエコシステム全体における関わりを最大限に引き出すことができます。これがデジタルな連続性なのです。共有ナレッジとノウハウを十分に活用することで、競争力を高めながら、イノベーションを強化することもできます。